宇宙活動の生態史観

「宇宙活動の生態史観――各国の宇宙政策を理解するために(その1)」

3.「第二地域」の宇宙活動

 各国の宇宙活動の方向性、あるいは宇宙政策を考えるのに「生態史観」の視点など意味があるのかという声もあるかもしれない。しかし私は、きわめ て重要だと思っている。とくに梅棹さんのいう「第一地域」と「第二地域」の特徴である。まず、第2地域についてだ。

 「この地域は、第二次大戦後に独立した、おびただしい数の国ぐにをふくんでいる。第一地域には、戦後あたらしく独立をえた国はひとつもないのと、いち じるしい対象をしめしている。第二地域は、戦前までは、おおくは植民地かあるいは半植民地の状態にあった。そうでない国も、たくさんの難問題をかかえ て、四苦八苦だった」

 先に書いたように、ロケットを自主開発して、衛星を軌道投入できるのは、衛星初打ち上げの時系列でいうと、次の11カ国である。ソ連(現在のロシア とみなす)、アメリカ、フランス、日本、中国、イギリス、インド、イスラエル、イラン、北朝鮮(ペイロードが衛星と仮定して)、韓国(第2段ロケット は自主開発)。これらの国々が、第1地域と第2地域のどこに位置しているかを考えると、それぞれの宇宙開発の傾向が、うっすらと浮かび上がるはずであ る(図3)。

図.3 (原寸ファイル)

 しかしこの図には、“新世界”のアメリカを加えていない。ここではあえて“新世界”を北アメリカに限定するが、宇宙開発を考える上ではもっとも重要 なこの地域を、生態史観の模式図上では、どこに配置したらよいだろうか。

 アメリカにも、砂漠はある。しかしそれらは、旧世界の“乾燥地帯”とは、質的にことなるようだ。

 「北アメリカでは、開拓者たちは、なにもないところに、はじめから文明を建設していった。かれらが対決する相手は、伝統ではなく自然だった。しかも、 この自然は、手ごわく抵抗するあらあらしい自然ではなくて、むしろかれらを成功にみちびくめぐみの自然だったようだ」

 東海岸から西海岸へと向かう西部開拓にも、ネバダやモハーヴェイなどいくつもの砂漠が存在している。しかしそれらは、たしかに旧世界の“乾燥地帯” とはちがうようだ。砂漠のむこうには、開拓による見返りが期待できるフロンティアがひろがっていた。その意味では、「成功にみちびくめぐみの自然」に なりえたといえる。

 そこで今度は、メルカトル図法の地図上に、“新世界”も配置してみた(図4)。旧世界では西の端に位置している西ヨーロッパと、新世界アメリカは、 大西洋をはさんで隣接している。いっぽう旧世界では東の端に位置する日本と新世界アメリカは、太平洋をあいだにして隣り合っている。

図.4 (原寸ファイル)

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